プロの技

家で家族と一緒に焼く「ホットケーキ」は格別な美味しさですが、もちろん喫茶店やカフェ、専門店で食べられる「パンケーキ」もまた幸せになれる美味しさです。しかし、同じような原材料と製法で作られているはずなのに、家で食べるものとお店で食べるものがまるで別物だと思った人は多いのではないでしょうか。自宅ではできないような贅沢なトッピングや、特別な製法や調理器具で焼き上げられたものはさておき、普通に小麦粉と卵と牛乳、砂糖にベーキングパウダーを混ぜてフライパンで焼かれたパンケーキでそのような差が生まれるのは何故なのでしょう。

まずお店で出されるものと家で作るものの大きな違いは見た目、焼き色です。家で焼いたとき、焼き目の濃い部分と薄い部分でまだら模様になってしまったという経験のある人は多いでしょう。お店で出されるパンケーキは端までしっかりきれいな焼き色がついて表面はサクっと香ばしく、中はふんわりと柔らかい絶妙な焼き上がりになっていますが、この違いのポイントは火加減です。

フライパンを熱したまま生地を流すと温度の高い底に接した部分から先に焼けてしまうため、手早く生地を流し入れた後に弱火でじっくり焼くことで全体に均一に熱が通り、きれいなキツネ色のパンケーキになるのです。専用の鉄板などでパンケーキを焼くお店では、この繊細な温度調節と綺麗に焼き上げられる腕がつくまでに何年も修行が必要だと言われるほどです。

また、近頃ブームのパンケーキはどれも分厚くてふわふわの食感が話題ですが、家で焼いたときに厚みが出ず、ぺちゃんこになってしまったということはよくあるでしょう。分厚いパンケーキが焼ける型なども売られていますが、慣れないうちは生焼けになってしまうかもしれません。ここでもポイントになるのは温度調節、そして生地作りなのです。

表面が先に焼けてしまっては中まで火が通らなくなるため、弱火でじっくりと全体を温めながら分厚い生地を焼いていきます。また分厚く焼き上げるためには生地を混ぜてすぐに焼く必要があるため、あらかじめ生地を作り置きしておくことはできません。そのため、分厚いパンケーキを提供する店では長い待ち時間がつきものですが、その分手間と時間をかけた美しいパンケーキを焼き立てで味わえるとなれば、期待も高まるというものでしょう。

シンプルな料理とはいえ、美しく、かつ美味しいパンケーキは一朝一夕には実現できないプロの技の結晶と言えるのではないでしょうか。