シンプルだからこそ看板の味に

カフェや喫茶店での看板メニューといえば、まずはオリジナルブレンドのコーヒーでしょう。店主がこだわって選んだ豆、焙煎とブレンド、挽き方まで店によって千差万別です。コーヒー豆と水というシンプルな素材にこだわり、その中でも試行錯誤をくり返して、一番美味しいと自信をもって提供できるオリジナルの味を完成させられれば、看板メニューとなるのも当然でしょう。

シンプルだからこそ難しいというのは、コーヒーだけではありません。カフェや喫茶店で提供されるメニューは経営業態や地域によって様々ですが、サンドイッチやワッフル、パンケーキなどの軽食も提供している店は多いものです。そして、本格的なレストランで提供されるような凝った料理ではない、それらの簡単な料理でこそ、店の質が問われるといっても過言ではないのです。

例えば、パンケーキは昔から軽食メニューの定番として多くの店で提供されてきましたが、使用される主な原材料は卵、小麦粉、牛乳、砂糖、ベーキングパウダーです。しかし、ただ単に最高級の卵や牛乳を使って作れば、最高に美味しいパンケーキが焼けるというわけではなく、パンケーキとして焼き上げた時点で最高に美味しい原材料を使用、製法を選択しなくてはいけません。

理想の食感と香ばしさを実現するために小麦粉はどの種類を何グラム使用すべきか、しっとりふわふわの食感を出すために卵と牛乳、ベーキングパウダーの割合はどうすべきか、素材の香りを生かして優しい甘さを感じさせるためにどの種類の砂糖をどれほど入れるべきか、それぞれの店で様々に工夫を凝らして味を追求しているでしょう。

今でこそ、たっぷりの生クリームに季節のフルーツやチョコレートソース、エディブルフラワーまでふんだんにトッピングしたパンケーキを提供する店が各地で行列を作るほどの人気を集めていますが、それらもメインのパンケーキが美味しいことがそもそもの大前提です。豪華なトッピングを取っ払ってしまえば味はイマイチだという一皿に行列を作り、お金を払ってくれるお客さんはそうはいないでしょう。シンプルな素材だからこそ、下手な小細工やごまかしはできません。試行錯誤の末に完成させたこだわりの一品こそが、多くの人々に長く愛される自慢のメニューになるのです。

もし今後カフェや喫茶店に入る機会があるのなら、まず一番シンプルなメニューを注文してみませんか。サンドイッチしかり、パンケーキしかり、案外それが珠玉の一皿かもしれません。